2021年11月11日木曜日

今日のランチ(2021.11.11)

ワカメごはん・豚肉生姜焼・野菜ソテー・味噌汁・牛乳・オレンジ

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 生姜焼きは夢を見ていた。それは、自分がまだ一介の豚肉で、最高の相棒を探し旅をしていた頃のものだ。様々な調味料と出会い、セッションし、そして別れる日々。刺激的な出会いも多くあったが、目新しいのは最初だけ。しばらくするとその味のくどさに胃もたれし、しばらく違う道を歩もうと告げて、二度と振り返らない分かれ道を進んできた。ショウガと出会ったのはその頃。遥か昔に中国からやってきた彼は薬効品として名を上げ、単なる食材以上の地位にいた。一世を風靡し大航海時代などは1ポンドが羊一頭の価値を持っていたらしいが、それも今は昔。流通が発達しショウガは値下がり。あまりに普遍的な存在として、黄金世代はとっくに過ぎているように思えた。あのショウガとコラボできれば、と思うミーハーな心と、いまさらショウガは前時代的か、と思う気持ちが交錯。するとショウガはにやりと笑って言った。「私の黄金時代は過ぎたという人がいる。いまはもっと多様な刺激が手軽に味わえる時代。それは否定しない。しかしこの時代まで生き抜いてきた価値と理由は必ずある。それを知ろうとするか、通り過ぎるかはお前次第だ」。かくして豚肉はショウガとコラボした。そして納得させられた。どんな味とも調和し素材の良さを高める親和性。一瞬刺激が少ないように思われて、それが長く食べ続けられる理由でもあった。これが歴史のなせる業。そして体がほんのり温まり、健康をも手に入れることができる。そこからいちども解散することなく現在まで関係性は続いている。ブームに左右されない普遍性を手にしたのであるが、それは歴史に敬意を払うことでもあった。生姜焼きのその先へ、夢は続いていく。

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