2020年6月29日月曜日

今日のランチ(2020.6.29)

ワカメごはん・サバ塩焼・切干大根煮・キムチ汁・牛乳・オレンジ

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 鮭の塩焼きは特別感を求めて食べるものではない。

 踊り上がり、高揚して食べるものではない。そこにあるのは当たり前の日常に組み込まれた「こういうのが良いんだよ」感である。

 それは例えるなら疲れたサラリーマンが夜たどり着いた老夫婦が切り盛りする食堂で橙のランプに照らされる優しさであり、あるいは土曜日の遅めの昼食に扇風機のぬるい送風を浴びながら日本家屋で食べる幼少の記憶である。

 それぞれの日常の中の記憶に密接に結びついたこの料理は、かけがえのない日々の象徴である。私たちが失い、そして取り戻したいと願っているそれぞれの日常が、鮭塩焼きを通して浮かび上がる。いわば思い出の幻灯機なのである。

(M²)



2020年6月26日金曜日

今日のランチ(2020.6.26)

ポークカレー・グリーンサラダ・コンソメスープ・牛乳・ヨーグルト

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現代文の教科書に井上ひさしの「ナイン」という作品がある。1983年頃の東京は四ツ谷駅前の新道商店街にある中村畳店が舞台の一つ。20 年前にも中村畳店で間借りをしていた「私」は、久しぶりの新道商店街が飲み屋や食べ物屋、喫茶店ばかりになってしまった様子を「厚化粧の、他人の懐中を当てにしないとやって行けない、何だか脆い通りになってしまった」と嘆く。

 

小説の本筋とは違う、この何気ない章段を思い出したのは、今の日本の現状と重なるからだ。新自由主義経済を推し進め、すべての価値は市場原理で測り、市場から見放されるのは自己責任と言われた。在庫や余剰は悪とみなされ、100%稼働こそ素晴らしい経営だと思われてきた。

 

ところが、COVID-19はそれらの欺瞞をすべて曝け出したように思う。拠点を海外に移した製造業は、マスク一枚すら自分達の思うようにならない事態を招いた。稼働率を上げるため余剰を削られ続けた医療機関は、一度パンデミックが起これば、たやすく崩壊してしまうことが分かった。

 

このウイルスは、かつての大流行がそうであったように私達の生活を大きく変えるかもしれない。会社に通う、学校に通うのが当たり前ではなくなるかもしれない。農業、工業は再び従事者を増やし、国内の小さなコミュニティ相手の商売に回帰するのではないだろうか。

 

カレーを無心でほおばる生徒に、「新たな暮らしの創造は君たちにかかっているぞ。」と思った、6月下旬である。

(S.K)



2020年6月25日木曜日

今日のランチ(2020.6.25)

ソフト麺(和風汁)・イカの天ぷら・切干大根サラダ・牛乳・ミニエクレア

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 学校では、ハンディの扇風機が流行っています。マスクの暑さが本格的に体力を削る季節が到来したことが関係していると思います。去年までの私は、ハンディの扇風機を持っている生徒を見て、こんなものが流行っているのだなと思う程度でしたが、さすがに暑いのでとうとう買ってしまいました。快適でした。それと同時に気になるのはハンディ扇風機に向かって「あーーー」と言うとちゃんと宇宙人っぽくなるのかという大問題です。あの素朴な光景が好きなんです。お手持ちのハンディ扇風機がありましたら、お試しください。(飛沫にご注意ください。)

 

 今日のランチは、ソフト麺。和風汁に入れていただきます。袋から上手に出すのが難しく、慎重さを忘れてはいけません。1年生は初ソフト麺。上手に、食べているようでした。私は和風汁を、最後まで飲むことにしています。汁の出汁の美味しさを感じるとき、自分は宇宙人ではなく、日本人だなあと感じます。冷たくて甘いミニエクレアを味わって、午後の授業も頑張ります。

(Nm³)



2020年6月24日水曜日

今日のランチ(2020.6.24)

ごはん(のり佃煮)・サケ照焼・茎ワカメサラダ・肉豆腐・牛乳・バナナ

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今年は3年生の作った玉ねぎが豊作です。
ランチで絶賛活躍中です。
考えられる豊作の理由は色々あるけれど
今冬に雪が降らなかったことが大きいかもしれません。

 

今冬は変でした。
雪が降らなかったため、雪かき労作が全くなく、
雪山(施設職員の方々が朝4時に出勤して除雪車で築く敬和のマッターホルン)崩し労作に至っては、
そんな発想すら沸かない。
今年はいつもと違う、そんな冬でした。

 

去年11月に植えた玉ねぎは冬の間もスクスク成長し (あれ?冬なのにスクスク?)、
5月にはネギ坊主を付けはじめ (ありゃ。どうしよう・・・)
学校再開の6月には半数以上がネギ満開 (もうだめかも・・・)
という状態だったのにも関わらず記録的大豊作です!
毎日の3年生の労作は収穫・乾燥・仕分け・皮むき・根切り・洗い・給食室までの運搬と大忙しです。
みんな、ありがとう!

 

自分の成果を皆で分ける敬和です。
3年生が作った玉ねぎですが
もちろん1,2年生も毎日のランチで楽しんでくださいね。

 

今年の玉ねぎ、3年生の自慢です。
あまあま、トロトロですよ。美味いです。
もしよかったらお知り合いの3年生に「玉ねぎ、美味しかったです」って伝えてくださいね。

 

そして、毎年恒例「小玉ネギ、おわけします」の会も近々開催予定です。
自宅に帰る寮生も利用できるように金曜日を予定しています。
どうぞご家庭でも敬和の味をご賞味くださいませ。
そしてどうか言ってください
「玉ねぎ、うめー」って。

(M.I)



2020年6月23日火曜日

今日のランチ(2020.6.23)

ごはん(ふりかけ)・豆腐ハンバーグ・ほうれん草ソテー・味噌汁・牛乳・グレープフルーツ

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 みなさん、今日は何の日か知っていますか。

今日は沖縄慰霊の日です。75年前、太平洋戦争において行われた沖縄戦。その沖縄戦の組織的戦闘が終結したことにちなんで、沖縄県が定めた記念日です。新型コロナウィルスの影響で例年より規模は縮小されましたが、沖縄では沖縄全戦没者追悼式が行われました。Youtubeでライブ配信もされました。私たちの平和のために75年前の戦争で犠牲になった方々を是非思い起こし、哀悼の意を捧げてほしいと思います。

 

 さて、今日のランチのメインは、ハンバーグでした。久々の敬和ランチのハンバーグ。味と言い、大きさと言い大満足のメニューでした。また、食後のグレープフルーツも爽やかさをもたらしてくれて、午後も頑張ろうという気にさせてくれました。おいしくランチを食べられることに感謝です。

(S.T)



2020年6月22日月曜日

今日のランチ(2020.6.22)

キムタクごはん・ブロッコリーサラダ・野菜スープ・牛乳・冷凍みかん

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 キムタクごはんは、なんとなく食べてはならないメニューだ。己の全身全霊を傾け、相対する。そうでなければキムタクご飯が放つオーラに支配されてしまうからだ。

 

 キムタクご飯に支配されると、どんなランチを食べていてもぼんやりとキムタクご飯が頭をよぎる。一か月のメニューを渡されたとき、真っ先にそれを探し、無ければ強い落胆、あれば狂喜乱舞し、そこから指折り数えてコンディション調整に入る。最高の体調で当日を迎えると、一心不乱にぱくつき、食べ終わると、満足感とともにある恐るべき問いが浮かび上がる。「次のキムタクご飯はいつなのか」と。

 

 支配は卒業後も続き、時々思い出しては無性に食べたくなる。単語を見ただけでそうなるのだから、写真を見るなんて、もってのほか。更に支配はこれを食べたことのない者にもおよぶ。

 

 そう、このランチレポートを読んでいるそこのあなたも、もう手遅れです。

(M²)



2020年6月19日金曜日

今日のランチ(2020.6.19)

菜めし・豚肉香草焼・もやしソテー・味噌汁・牛乳・冷凍パイン

 

  

 今年度も金曜日を担当いたします。コロナ禍で「学校の新しい生活様式」を実行中の敬和から日々の様子をお伝えしてまいります。

 

 この「学校の新しい生活様式」というのは文科省から出された『学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」によるもので、教科の授業で感染リスクが高いため実施を控えるべきものや、実施に当たり配慮すべきことが記入されている。いわゆる3密を避けよということなのだが、そもそも学校というところは3密を完全に回避できるようにはできていない。

 

 これによると、家庭科の調理実習はダメ、音楽の室内で近距離で行う合唱およびリコーダーや鍵盤ハーモニカ等の管楽器演奏はダメ、理科の近距離で活動する実験や観察はダメ、体育で密集する運動、近距離で組み合ったり接触したりする運動はダメ……と全く教育活動ができない。ネイティブの先生からは「発音は口元を見せなくては伝わらないのだが、なんとかマスクを外せないものか」と切実な訴えが来ているのだが、対応できずにいる現実がある。

 

 なんとなく大丈夫だろう、では許されない緊張感が教職員にはあるのだが、久しぶりの学校再開で喜びあふれる生徒にはなかなか伝えるのが難しい。ランチホールでも、対面の着席ができないように座席を半分にしているのだが、どうしても振り返っておしゃべりしてしまう。大声は出さないでといっても、3か月分の積もる話もあるだろう。話すなというのは無理だし、全てを禁止するのは忍びない。

 

 寮生、通生の分散登校を2週間実施し健康観察期間を設けようやく通常登校が始まった。ランチの対面禁止、部活動の内容制限をするなど、他校に比べて慎重に動き出している敬和だが、逆にスピード感に乏しくお叱りをいただくこともある。先々の見通しが立たない中、ついつい不安や不満が募るのだが、毎日消毒に追われる先生方を「手伝おうか?」と気遣ってくれる生徒の存在が、私たちを奮い立たせてくれる。そんな生徒と「新しい学校生活」を一緒に創っていく。豚肉をほおばりながら、そう決意する週末、金曜日である。 (S・K)

 

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2020年6月18日木曜日

今日のランチ(2020.6.18)

五目チャーハン・春雨サラダ・中華スープ・牛乳・杏仁豆腐

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みなさん、こんにちは。今年度は木曜担当になりました。よろしくお願いいたします。毎週書いていたランチレポートも3ヶ月ぶりともなると少し緊張してしまいます。しっかりランチをレポートしていきたいと思います。

午前中、先生方から「ディナー」という言葉についての話を耳にしました。私は、てっきり夕食のことを指す言葉と思っていたのですが、実は「1日に最も主とする食事」のことを指す言葉なのだそうです。ドイツなどでは昼食をディナーというんだそう。全く知らなかったので驚きました。自分の食生活を省みてみると…、1日の中で最も食事らしく、また豪華なのは確実に敬和のランチです。ということは敬和のランチが私にとってのディナーなんだなと確信しました。

今日のディナーは五目チャーハンです。久しぶりにその美味しさを感じながら、スプーンでいただきます。時々春雨サラダを吸い込み、ラストはあまーい杏仁豆腐で締めます。それはそれは豪華絢爛でした。おいしかったです。1年生もおいしそうに食べていました。ほほえましい光景です。やっぱり,敬和のランチはディナーだと思いました。以上、ディナーレポートでした。

(Nm³)



2020年6月17日水曜日

今日のランチ(2020.6.17)

スパゲティミートソース・チーズ入りサラダ・牛乳・ココアマフィン

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 2月から約3か月振りにランチを食べた。休校になってから、生徒達が学校にいないことと同時にランチがなくなった。私にとって敬和のランチは、敬和で過ごす生活の中で大切な時間であった。私のコロナ時間の中で、新しくできた生活習慣はお弁当作りだった。みんなの労作を見ても、家庭で料理をした人が多かった。この3か月、誰かに作ってもらう料理のありがたみを感じずにはいられなかった。

 

 今日の久しぶりのランチを、敬和を大切に思ってくださっている人と食べた。格別に美味しかった。いろんなことが特別に感じたランチタイム。新しく自分の中でできた生活習慣も大切にしながら、やっぱりランチもたまには食べようと思った。

(K.N)



2020年6月16日火曜日

今日のランチ(2020.6.16)

ごはん(ふりかけ)・サバ西京焼・切り昆布煮・豚汁・牛乳・ヨーグルト

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 今日のランチは「ザ・和食」でありました。

無形文化遺産に和食は認定されて、和食の素晴らしさ、日本人の知恵が評価されているわけですが、敬和の10代の生徒は、和食に対してどう感じているのでしょうか。

 先週の分散登校中、通学生の生徒に今日のランチは「オムライスだったよ」と伝えたら、すかさず、「いいな~」という反応。昨日はメニューを知って「唐揚げだ!!」と言って飛び上がっていました。和食でテンション上がっている生徒に出会わず・・。

聞いてみると和食の味は「地味だし・・」でした。

 食によらず、世の中「地味」もいいことあるけどね。

(A.K)



2020年6月15日月曜日

今日のランチ(2020.2.27)

わかめごはん・鶏肉からあげ・和風サラダ・ちゃんぽんスープ・牛乳・マスカットゼリー

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時が止まっていた。

この3ヶ月。生徒のいない教室、グラウンド、友愛館。

「シン」という音が聞こえてきそうな静寂。

主人を失った空っぽの学校は、生茂る緑の中に埋没しようとしていた。

テレビをつければ、エンドレステープのように流れる過去の番組とドラマ。

時は直線から円環へ進行方向を変え、ゆっくりと閉じていく。

 

しかし、永劫とも思える停滞の中で、遂に均衡が破られた。

生徒たちの凱旋の声が溢れ、慌ただしく学校は目覚める。

通生と寮生の交わらぬ流れが暫く続き、そして今日二つの川は一つとなった。

 

私たちは変わっていく。状況の必然によってではなく自らの意志によって。

どんな荒れた海であっても、自らの腕で泳いでいく。人はいつだって自由だ。

また私たちは変わらない。このからあげが依然変わりなく美味いように。

からあげの強烈な存在感と、そこに隠れるのでなくむしろ主張することで調和を図るちゃんぽんスープやわかめごはん。栄養バランスが計算され尽くした敬和のいつものランチ。

積み上げてきた信念と価値観は簡単には揺らがない。

敬和の時間は、このからあげを一口食べた瞬間から動き始めた。

さあ、新しいストーリーを始めよう。

(M²)