ごはん(のり佃煮)・豚肉カレー焼・もやしソテー・味噌汁・牛乳・シュークリーム
「ちょっとインド行ってくるわ」
そう言い残してふらっと旅に出た生姜焼き用の豚肉が一週間後、すっかりインドに染まって、いや、カレー粉にまみれて帰ってきた。
「なんかずいぶん焼けたね」
僕が彼の全身を見ながら言った。
「うん、インドだからね」
彼はこともなげに言った。サングラスをしている。ここ室内なんだけど。
「そんな陽気な感じだったっけ」
「うん、インドで変わったのさ」
「なんかインドでカレーに染まるって安直じゃない?」
「インドのカレーは奥深いぞ、俺は生まれ変わったんだ。ガンジス川にも行って沐浴した」
会話が繋がっているような、いないような。本当に彼は変わってしまったようだ。
すると、彼はサングラスを外し、じっとこちらを見て言った。
「味噌汁よ、お前は変わらなすぎる。インド行って、人生観変えて来い」
そうなのか、僕が時代に後れているのか。伝統を守ることを第一としているうちに、守りに入っていたのだろうか。でも・・・
「・・・インドは遠いな。まずは沖縄ぐらいでどうだろう」
「ばか言え、沖縄にはガンジス川は無いだろ。まずはそこで液体とは何なのか、根本的に見つめ直せ」
会話をしながら、僕は見たことも無いインドを想像した。そこには答えがあるのだろうか。
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