2019年11月1日金曜日

今日のランチ(2019.11.1)

ごはん(ふりかけ)・サバ照焼・茎ワカメサラダ・豆乳スープ・牛乳・ミニワッフル

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 霜月である。ランチのサバが美味しい。3年生が進路の追い込みの時期である。面接の練習、提出書類の確認などのため、連日教務室にやってくる。敬和の教務室は入口付近に大きな机を配置して、簡易な相談や、書類の確認などを行うのだが、中にはその机で書類を書く兵(つわもの)もいる。自分の高校時代、教務室は出来ることなら行きたくない場所だった。敬和生の度胸と先生方の寛容さの証左なのだろう。

 

 先日、その大机で志望理由書を書いていた生徒から、通りすがりにこんな質問を受けた。「先生は何になりたいですか?」「ん?」と思いこう聞き返した。「何になりたかったか?じゃ無くて?」「はい。志望理由を書いているのですが、先生の意見を参考にしたくて。今の気持ちを聞きたいのです。」なるほど、と思いながら、はたと返事に困ってしまった。

 

 何になりたかったか、はすぐ思い出せる。小学校の時は電車の運転手、中学校では船乗り、高校では物書きになりたかった。大学を出て教員となり、早30年。今、何になりたいか?ということはついぞ考えていなかったと気が付いた。年老いた親の長寿や子どもの健康、生徒の成長を願うことはあっても、自らが「どうなりたいか?」と問う姿勢を、いつしか忘れていたようである。

 

 教師は生徒に夢を語れなくなったら終わり、という言葉を先輩の先生から伺ったことがある。部活動で全国優勝を成し遂げたその先生は、普段持ち歩くノートの表紙に墨蹟も鮮やかに「夢」とお書きになっていた。人はいくつになっても勉強、学ぶことをやめたら教えることもやめねばならない。「何になりたいですか?」彼女の一言が、錆びついたエンジンに油をさしてくれたようである。

(S・K)