2015年10月23日金曜日

今日のランチ(2015.10.23)

チキンカレー・生野菜サラダ・玉子スープ・牛乳・ヨーグルト

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…この世界には、「絶対に負けられない戦い」が存在する。

 

 例えば、先日話題になったラグビーワールドカップ、「緑の巨人」と称される南アフリカに日本代表は「負けられない」姿勢で挑み、見事勝利を手にした。

 敬和でも、この週末にサッカー部やラグビー部の選手権大会が開幕する。両方とも3年生にとっては負けたら即引退の「負けられない」戦いである。

 明確な対戦相手がいない場合もあるだろう。今日の夜にチャペルで行われる器楽部主催の「太夫浜コンサート」。数えきれないほどの練習を繰り返し行い、指に、耳に、そして魂に刻まれたその一曲を大勢の聴衆の前で披露する、3年生にとっては最後のコンサートだ。他の誰でもない、自分の人生の大切な一瞬という意味で、失敗は許されない。それこそ自分との「負けられない」戦いだ。

 

 そしてもう1つ、今日のランチにも「負けられない」戦いが存在していた。メインメニューは「チキンカレー」!! ランチに向かう時点で、私の耳には「ダダンダンダダン!!」というターミネーターのBGMが響いてくる。友愛館の内扉を開けると、強烈なスパイスの香りが、まるで試合を制するチャンピオンの左ジャブよろしく鼻腔から脳髄を刺激してくる。「何杯食べてもいいですよ…」という調理員さんの甘い囁きに自分を見失いそうになるが、いかんいかん!! この一杯は私にとって「負けられない」戦いなのだ。

 前に座っていたエビちゃんは最後の一口になるまでサイドメニューの存在を忘れていた。斜め前のつじもは、生卵とソースの必要性を声高に叫んでいた(その時点で彼は2杯目を食べていた)。何より、固まって座る教職員の輪の中に全く会話が無い。いや、朗らかに会話する余裕などなく、皆、黙々と目前の一杯に全力で向き合っていた。

 

 …以降、目が覚めるような生野菜サラダの揺さぶりや柔らかな卵スープの懐柔、さっぱりしたヨーグルトにも足元を取られそうになったが、全てを食べ終えた。勝ったぞ。私は、今日もこの一杯に全力を懸けて挑み、見事勝利を収めたのだ。満腹感と心地良い達成感に包まれながら友愛館を去ろうとしたその時、栄養士さんと目が合った。「今日のカレーも美味しかったですよ。」と声を掛けると、にこやかな笑みと共に返事があった。

「チキンは朝からワインで煮込んでますからね…。」

 …完敗だ。私はどうやら栄養士さんの手の平の上で踊らされていたのだ…涙。(N.M)