2020年2月4日火曜日

今日のランチ(2020.2.4)

ごはん(のり佃煮)・五目厚焼玉子・チンゲン菜煮浸し・味噌おでん・牛乳・蒸しケーキ

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 もしも「音楽」が「田楽」になったとしたらどうなるか。

 たとえば音楽には様々な分類がある。「邦楽」や「洋楽」といった分類だ。あるいは「クラシック」や「ジャズ」、「ハウス」「レゲエ」「オルタナティブ」など挙げればきりがないが、もしも音楽が「田楽」になったとしたら、これらの分類はどうなるか。たとえば次のような分類が為されると考えられる。

「味噌田楽は、邦楽」

 それはそうである。そもそも田楽というのは日本発であるからおおよその田楽は「邦楽」ということになるが、ではそこへゆくと洋楽とは何にあたるのか。それを知るためには、田楽の定義にいま一度立ち返ることが重要だ。辞書にはどのように書いてあるか。

「田楽(でんがく)は、豆腐やこんにゃく、茄子や里芋などを串に刺し、柚子や木の芽などで香りをつけた味噌を塗りつけて、焼いた料理である」

 これで分かった。つまり、洋楽というのはこういうことだ。

「バーベキュー」

 思い思いの具材を串に刺し、焼く。バーベキューこそが洋楽だ。だから、最初に日本に上陸したときなどは、日本国民は皆洋楽に夢中になった。音楽では、ビートルズが来日した際日本中がものすごいことになったが、田楽でいうビートルズは何にあたるか。

 それはもちろん「マッシュルーム」である。カットマッシュルームのバーベキューだ。音楽では成功を収めたビートルズも、田楽ではあまりうまくいかなかったようだ。田楽の世界も厳しい。

 また、現代音楽の代表ともいえる「ロック」という概念がこのころから俄かに登場するわけだが、そこへゆくと現代田楽における「ロック」とは何にあたるか。

「串に刺さずに、鉄板で焼く」

 洋楽は串に刺すタイプの古き良きクラシック田楽から様々な曲折を経て「ロック」という、串に刺さないタイプの新たな表現を手に入れた。これは田楽の歴史にとって衝撃的な発見であり、いわば革命である。このムーブメントは瞬く間に全世界に広がり、いまでは「プルコギ」や「サムギョプサル」に代表されるK-POPなど、各地で新たな田楽の文化が生まれている。

また、日本では近年、田楽の在り方が大きく変わってきた。すなわち配信やサブスクリプションに代表されるデジタル化が急速に進化を遂げたことにより、いわば現代は「田楽を消費する」時代となった。田楽を消費するのが当たり前の時代において、それでも簡単には消費されないような田楽をどのように発信していくべきか、田楽の作り手たちも頭を捻っているようである。だからこそ消費者の側にもそれなりの姿勢が求められていると感じる。すなわち、ただ次々に消費するのではなく、一つ一つの田楽をじっくりと味わいながら噛みしめようとする姿勢、それこそが田楽の作り手に対する真摯な態度なのではないだろうか。

(A.N)