2021年1月25日月曜日

今日のランチ(2021.1.25)

ごはん(しそ味ひじき)・サケ塩焼・切干大根煮・坦々スープ・牛乳・ヨーグルト

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 鮭を食べるとき、時々思い出すのは、日本最初の洋画家高橋由一の書いた油絵『鮭』。縄に吊るされ、身を欠かれたそれは、日本史の教科書にも描かれるほど大きな影響を持っている。彼は江戸に生まれ、西洋の石版画を見たときにその迫真の描写に衝撃を受けたという。同じ時期に日本の浮世絵は陶器の包み紙などとして西洋に渡り、その大胆な構図や色彩が西洋の芸術に衝撃を与えた。すなわち、ジャパニズムあるいはジャポニスムと呼ばれるものだ。

 

 ここからわかるのは、文化は相互に影響を与え合うということだ。一方的に変化を与えるのではなく、互いの文化、言語、習慣は対流のように流動的に作用する。相互作用と共鳴は人間の宿命であり、それは国境や国家権力によって決して阻めるものではない。アメリカのコーヒーがイギリスに逆輸入され紅茶を圧迫しているように、クラスの話したこともない人が読んでいる本が気になるように。

 

 インターネット全盛期の今、我々はネットを通して世界から影響を受け、変化する。そのスピードがあまりに早くなっているが、油絵一枚書く時間ぐらいには、自分の変化をじっくり味わいたいものだ。坦々スープと鮭とご飯と、口の中では文化の大化学反応が起きている。

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