ごはん(ふりかけ)・サケ照焼・茎ワカメのサラダ・肉豆腐・牛乳・クリームブッセ
敬和にはフェスティバルという行事がある。
二日間で行われ、一日目は文化祭、二日目は体育祭だ。
俺は27年敬和に勤めているが、この二日目の体育祭、梅雨時にも関わらず、中止になったことがない。(途中で雨に降られることは何回かあったけど)
この時期、俺はいつも宗教主任に圧力をかける。
「おい、牧師が三人も揃ってる学校で、体育祭に雨を降らせたら話になんないぞ。ぜったい晴れにしろよ。」
前任者のNは、そんな俺の言葉に、「晴れにして下さいなんて祈れません。ふさわしい天気をお与え下さいと祈るばかりです」などと、正論で誤魔化すのが常だった。
今年のフェスティバルは、初日、ぐずついた天気だった。俺は新任の牧師のYに、「おい、分かってるだろうな。明日は絶対晴れにしろよ」と言った。
新任のYは緊張した面持ちで、「はい、前任者からしっかり申し送りされています」と言う。Nは、自分の時は「ふさわしい天気」などと言っていたくせに、後任には「絶対晴れにしろ」と圧力をかけていたんだ。
当日。空は晴れ上がった。そればかりか、気温がどんどん上がり、まるで真夏のような天気になった。
俺は暑さにぐったりしながら、「おい、晴らしゃいいってもんじゃねえんだよ。物事には限度ってもんがあんだよ!」とYを一喝した。
するとYは申し訳なさそうに、「すみません。初めてなもんですから、つい気合を入れすぎました」と言った。
Yも随分、分かってきたじゃないの。
今日のランチは鮭の照り焼きと肉豆腐フープ。
ランチメイトは、牧師のYだ。
「どう、最近?」と俺。
「どうって、何がですか?」とY。
「天気だよ、天気。最近、気を抜いてんじゃないの。なんかぱっとしない天気じゃない」と俺。
「すみません。フェスティバルが終わって、なんか気が抜けちゃって…」
Yはまるで生徒みたいなことを言って申しわけなさそうに笑った。
(T.H)