スパゲッティミートソース・イタリアンサラダ・牛乳・マフィン
また失敗しちゃった。
一年生の最初の授業。
終わりごろに時間が余ったので、「おまえたち、ランチに行くとき歩いてないか?」と問いかけた。
「はい」と素直な返事。
「ふざけんなよ」と一喝する俺の言葉に、きょとんとする一年生。
「敬和のランチはな、走って行くもんなんだよ。歩いてちゃ盛り上がらねえんだよ。ランチダッシュって言葉があんの知らねえのか。それからな、ランチダッシュするときは、『わー』って、叫びながら走るんだよ。分かるか?」
「分かりません」と一年生。
「あのな、黙って走ったら人にぶつかんだろ。『わー』って叫べば、避けてくれるんだよ。ちょっとは頭を使えよ。」
なるほど、と素直な一年生は納得する。
そこで終業の鐘が鳴る。
「そら、走れ!」俺が叫ぶと、一年生たちは廊下を「わー」っと叫びながらランチホールに向かって走って行った。
それでいいんだよ。
放課後、英語科主任から呼び止められた。
「先生、図書の方からクレームがあがってるんですけど。」
「えっ、何だろ?」思い当たることがありすぎてドキリとする俺。
「ランチの前半に一年生の図書室オリエンテーションがあったんですが、数名が遅刻したそうなんです。理由を聞いたら、英語の先生にランチホールまで走って行けと言われたと…」
「すみません。」小さくなる俺。
「あと先生、廊下は走っちゃ駄目ですよ」
「すみません。」
今日のランチはスパゲッティーミートソース。
せっかくのご馳走なのに、何だかほろ苦かったぜ。
(T.H)