キムタクごはん・中華スープ・牛乳・フルーツポンチ
日本文学史上、最も美しいタイトルの小説は何か、と聞かれたとき、間違いなく宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が候補の筆頭に上がってくると思う。一文字の無駄も無く、目に美しく、音も美しい。タイトルを読み上げたときに脳裏に浮かび上がる星空の幻想も素敵だ。孤独な少年カンパネルラと友人ジョバンニが旅する銀河の物語は天上界を自在に駆け巡り、人間の幸福について考えさせる。
「銀河鉄道の夜」の対義語とは何か、そう考えたとき私の結論は「キムタクご飯の昼」である。夜に対する昼は分かるが、なぜ銀河鉄道とキムタクご飯が対になるのか、それは銀河鉄道が夢、幻、天上の様々な寓話を通じ死の世界にもつながっているのに対し、キムタクご飯はこの地上を汗をかき、涙を流し、それでも生きている私たちを明日へ運ぶ、生の世界のものだからだ。銀河鉄道は幻想第四次元を走るが私たちは三次元の日常を生きている。どれほど高尚なことを考えていても腹は減る。それが人間の限界、悲しみ、しかし喜びでもある。カンパネラも幻想世界を旅し、しかし地上に戻ってきた。キムタクご飯は長野県からやってきたが、漬物と言えば宮沢賢治の生きた東北に根付いた食べ物だ。賢治も畑を耕し、農民と共に生きながら幻想的な小説を書いた。地に足を付けて、キムタクごはんと共に、終わりなき日常を生きていこう。
※今日が丁度100回目のランチレポートでした。我ながらよくこれだけ書くことがあるな、と思いつつ、文章を読んでくださっている皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。今後も温かく見守って頂ければ幸いです。
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