わかめごはん・鶏肉からあげ・和風サラダ・ちゃんぽんスープ・牛乳・マスカットゼリー
時が止まっていた。
この3ヶ月。生徒のいない教室、グラウンド、友愛館。
「シン」という音が聞こえてきそうな静寂。
主人を失った空っぽの学校は、生茂る緑の中に埋没しようとしていた。
テレビをつければ、エンドレステープのように流れる過去の番組とドラマ。
時は直線から円環へ進行方向を変え、ゆっくりと閉じていく。
しかし、永劫とも思える停滞の中で、遂に均衡が破られた。
生徒たちの凱旋の声が溢れ、慌ただしく学校は目覚める。
通生と寮生の交わらぬ流れが暫く続き、そして今日二つの川は一つとなった。
私たちは変わっていく。状況の必然によってではなく自らの意志によって。
どんな荒れた海であっても、自らの腕で泳いでいく。人はいつだって自由だ。
また私たちは変わらない。このからあげが依然変わりなく美味いように。
からあげの強烈な存在感と、そこに隠れるのでなくむしろ主張することで調和を図るちゃんぽんスープやわかめごはん。栄養バランスが計算され尽くした敬和のいつものランチ。
積み上げてきた信念と価値観は簡単には揺らがない。
敬和の時間は、このからあげを一口食べた瞬間から動き始めた。
さあ、新しいストーリーを始めよう。
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