2016年3月11日金曜日

今日のランチ(2016.3.11)

ビーフカレー・野菜サラダ・コンソメスープ・牛乳・プリン

0311

 

 数字は不思議な力を持つ。「1」「5」「8」など、それ単体では意味をなさないのに、ある特定の数字が結びつくと、深いメッセージを持ち始める。例えば「311」。5年前の今日、3月11日に、宮城県沖で発生した巨大地震、またそこから引き起こされた津波や原発事故など、「東日本大震災」を総称して表す数字である。

 震災発生から5年を迎え、新聞やニュースでもこの5年の歩みを特集するものが多い。それらの中に小さなエピソードを発見した。

 「…あれから5年。整理をつけようと、亡くなったあの人の衣類をタンスから出していたら、服に残されていたかすかな香りに面影を感じてはっとさせられた。いなくなったと思っていたあの人は、今も確かに私の中に生き続けている…。」

 

 

 私たちの記憶は脆く、そして儚い。あれほどの痛みを経験しても、時間と共にそれを忘れてしまう弱さを私たちは抱えている。しかし、だからこそ私たちは日常の何気ないきっかけから目に見えない「繋がり」や「絆」を感じ、そこから力をもらっている。

 

 今日のランチのカレーもそうだ。みんなが大好き、お馴染みのカレーだからこそ、この一杯を口に運ぶ時、これまでの様々な経験が想起される。

 

生徒と一緒に並んでお代わりしたこの一杯。

あまりの美味しさに会話が無くなったこの一杯。

疲れが出やすい金曜日には目標となったこの一杯。

オリ・デーや修養会など、屋外で食べたあの一杯。

入試のお昼には後半のエネルギーをもらったあの一杯。

 

 一口目をスプーンですくった時のあの至福感は、食べる喜び、生きている実感として一人ひとりの口に、脳に、そして魂に刻まれる。

 

 たとえ離れてしまって目に見えなくても、手で触れられなくても、共に過ごした時間や経験は確かに存在しており、それらは「繋がり」や「絆」となって一人ひとりを生かす見えない力になっていく。

 

 

 …改めて想う「震災から5年」。

この国が抱える痛みを覚えつつ、そして同時に生かされてる恵みとそれぞれに課せられた使命を覚えつつ、この一杯を味わって頂く時に、お皿の中の牛肉やじゃがいもが少し滲んで見えた…。

(N.M)