エッグカレー・コンソメスープ・牛乳・フルーツ白玉
…ん?
朝目覚めた時から頭が痛く、鼻水が止まらない。
こりゃいかん、昨今の寒さで風邪をひいてしまったようだ。
しかし、3年生の終業も近いのでここは休むわけにはいかない。
幸い熱は無いようなので薬を飲んで出勤した。
すると、私の机の上に自習監督のお願いが!! しかもランチ前の3限…。
いつもは何ともない自習監督も、今日のような体調が優れない時や、特にランチ前の3限というのは、正直萎える。
…いかんいかん、これも大事な仕事だ。
教科が美術だったので、中庭の美術室に行くと2年生が油絵の具で自画像を描いていた。
日頃あまり立ち寄る機会の少ない美術室だが、通常教室に比べて油の匂いや絵の具の汚れなども含めて独特の趣がある。
そこに並んだ20数個のキャンバス。
一人ひとり違った顔つきを、それぞれが思い思いの形で描いている。
面白いなあ。
それらを見回っていると、1人の女子生徒がキャンバスに向かいながらボソッとつぶやいた。
「ああ、今日は何かやる気でないなあ…。ん?待てよ、今日のランチ、エッグカレーだったっけ!? よーし頑張ろう!!」
チャイムが鳴り友愛館に入った瞬間に分かるスパイスの香り。
先ほどの女子生徒の中でやる気スイッチを入れたものの正体が分かったような気がした。
席に向かいながらエッグカレーの名前の由来となるうずらの卵の数を数えてしまう自分の小ささに少し悲しくなるけれど、お皿をよく見るとカレーの具の定番であるじゃがいも・ニンジンと共に、お肉はひき肉が使われていた。
たしかに、ここで濃厚なコクを醸し出す牛肩ブロックやブツ切りチキンだと、うずらとケンカしてしまって双方の魅力が損なわれてしまう。
むしろ敢えてひき肉を使う事で、肉の旨味を生かしつつ、メインであるうずらの魅力を最大限引き立たせることに見事成功している。
しかもこのうずらが絶品!! 柔らかい舌触りを楽しみつつ、一噛みすると、口の中で黄身がとろけるようにこぼれてくるではないか!!
茹で卵の黄身と言えばパサパサしたイメージがあるが、ここではご飯の熱とカレールーのスパイシーさが合わさった、まろやかで「優しい」美味しさを紡ぎ出している。
ウザがられてもいい、もう一度言おう。
これは「絶品」…いや、もう「芸術」と呼んでもいい。
…全てを食べ終えて友愛館を出る時には、痛かった頭や止まらなかった鼻水も何処かに行ってしまっていた。
「食」の…、いや「カレー」の力はホントにすごい。
(N.M)
PS:自他ともにカレー大好きを認める某T元先生は、隣で2杯目を食べながら「俺、今日死んでも後悔しないわ!! ハレルヤ!! アーメン!!」と興奮しきりでした。
よくよく話を聞くと、昨日の夜と今朝もカレーを召し上がられたとか…汗。