炊き込みごはん・サバ照焼・ひじき煮・味噌汁・牛乳・タルト

敬和の創設者の一人、モス先生ご夫妻が4年ぶりに来校され、一緒にランチを食べた。
モス先生は90歳。
奥様のはつみ先生のお歳は、女性なので書かない。
20数年前に引退され、現在はアメリカのマサチューセッツ州にお住まいだ。
はつみ先生は、わたしが初めて担任を持った時の学年主任。
よく放送で、「T先生!会議が始まっています。早くいらっしゃい!」と怒られたものだ。
お二人と話していて、本当に心が洗われた。
戦後間もない日本に、キリスト教の伝道師として来られ、太田先生とともに敬和学園を創設されたモス先生。
生涯を日本への伝道と、若き日本人の教育に捧げられたのだ。
お歳は召されたが、その時の姿のままで、素敵なユーモアの精神も変わらずに、わたしたちに会いに来てくださった。
いま、教育現場は経済界の意向が強く働き、押し寄せる市場原理に呑み込まれようとしている。
教育はサービスという名の商品であり、質の高いサービスを提供できなければ市場から去らざるを得ない。
生徒は市場が必要とする立派な商品に仕立て上げられ、社会で消費されて行く。
社会の歯車ではなく、尊厳を持った良い人間を育てたい。
そんな純粋さを、わたしたちは今失おうとしていのではないか。
お二人を見ていて自分が恥ずかしくなった。
O教頭が、敬和学園50周年記念誌への寄稿をモス先生にお願いした。
「メールで送っていただけますか」と尋ねるO教頭に、
「メールは読むことは出来ますが、書くのは苦手です。手書きでも良いですか?」とモス先生。
「手書きですか…」と困り顔のO教頭。
「手書きの原稿をスキャンして、メールに添付すればいいんですよ」と俺は助け舟を出したつもりだったが、
「あなたが何を言っているのか、わたしには分かりません」
モス先生はこう言って笑った。
(T.H)