ひじきごはん・マグロカツ・グリーンサラダ・ちゃんぽんスープ・牛乳・アップルシャーベット

敬和には年に一度、「全校労作」という行事があって、丸一日、あちこちの施設や教会に出かけ、
清掃などの作業をする。
俺は胎内市在住なので、毎年、中条教会の清掃や草むしりを担当している。
先月5月20日、この全校労作で十名の生徒を引率し、中条教会へ行った。
労作前の礼拝中、俺の携帯電話が鳴った。(マナーモードにするのを忘れていたんだ)
「もしもし」
「あ、もしもし、お父さん」
電話は、出産のために里帰り中の娘からだ。切羽詰った様子で、ついに産気づいたかと俺は緊張する。
「どうしたんだ?」と俺。
「フィロが…(十三歳のラブラドール犬の名前だ。いつ死んでもおかしくないと獣医に宣告されて三年になる。)」
と声を詰まらせる娘。
「死んだか!」俺は思わず叫ぶ。
「散歩に連れて行ったら、突然倒れて…家の真前なんだけど、わたし身重だから運べないし、助けに来て…」
娘は泣いている。
俺はすぐに牧師先生に事情を話し、スーパーカブにまたがり、家に向かった。
道中、俺は号泣していた。
今日、出かけてくるときに「大好きだよ」と言ってやらなかった…それが心残りだった。
「フィローー!!」俺はバイクを走らせながら叫んだ。
家まで戻ると、家の前にそれらしき姿はない。さては、近所の人に手伝ってもらったか?
俺は娘の名を呼びながら家に飛び込んだ。
すると…
すたすたとフィロが出てきて、「あれ、どうしたの」という顔でこちらを見ている。
「あれ、お前死んだんじゃないの?」あっけにとられる俺。
「お父さん、ごめんなさい」その後から娘が出てきて事情を説明する。
「道で倒れて、息がだんだん浅くなって、とうとう呼吸が止まって、それでも念のために15分様子を見たんだよ。そうしたら体が冷たくなって、筋肉が硬直してきたのでてっきり死んだと思ったら、さっき、突然立ち上がって歩き出したんだ。」
なんとフィロは、あの世から戻ってきたらしい。なんてすごい奴なんだ。
俺は再びスーパーカブにまたがって、中条教会へ戻った。
俺はこの事件で学んだことがある。
大切な一言は、絶対言っておかなきゃ駄目だ。
ごめんなさいとか、ありがとうとか、大好きだよとか。
だから大きな声で言わせてもらう。
「今日のマグロカツとちゃんぽんスープ、最高!!調理の皆さん、いつもありがとう、大好きだよ!
いつもランチと関係ないこと書いてごめんなさい!」
(T.H)